とある社長さんが、「新入社員営業マンから『手書き』のお手紙を頂いたが、面識の無い人からの手書きの手紙って引くわー」、と書いていたのを読んで思い出した昔の出来事。
それはまだ私が神様を信じなかった頃、じゃなくて、私が大学に居た頃。
とある塾でアルバイトの先生をやっていたんだけれど、その教室の生徒に一人やんちゃな女子中学生が居て、授業中に私語を止めない、課題やテストを『わからな〜い』と言ってあきらめる、そんなこんなでかなり手がかかっていたわけです。
その子が中学を卒業する時に、『先生は情報工学科だから(どこで調べたんだ?)、こういうのって得意なんでしょ?』と言われて手渡されたのが3.5インチのフロッピーディスク。特に中身についての説明もなく、『じゃぁね』とだけ言ってその子は去っていたのでした。
当時は PC-9801VM2 とかの時代で、PCに付いているのは普通は5.25インチFD。PC-9801UV とか、3.5インチFDが付いているPCを持っている知り合いにちょっと使わせてもらって中身を確認しようとしたのだけれど、どうも PC98 の DOS では読めない形式らしい、ということしか判らず。
『得意なんでしょ?』という一言にムキになっていたわけじゃないのだけど、3.5インチFDが付いていれば Mac だろうがなんだろうが挿してみて、読めるかどうか確認する日々がしばらく続いたんだけど、ある日突然その時は訪れたのだった。
デパートの家電売り場に並んでいたワープロのひとつにあった3.5インチFDを搭載した当時の人気機種「東芝Rupo」。この機種こそが、この3.5インチの持ち主だったのであります。
売り場に置いてある東芝Rupoの電源を入れてフロッピーを差し込むと、カタカタカタ・・・とかすかな音を立てて読み込まれたそのフロッピーディスクから現れた文章は、その中学生(もうその頃は高校に居た頃だと思うけど)のボクに対する気持ちを綴ったものでした。いわゆるひとつの恋文。
若かった当時の私は、その彼女からの想いを受け止める前に「こんな手の込んだことしなくてもなー」と、ちょっと面倒くさくなっていたこともあって、その手紙に対する返事も書かず、それっきりになってしまったのでした。
今なら、LINEで告白する時代だし、お互いに中身が読めないで困るなんてことも経験しなくて良いと思うんだけど、例えば『メールを送ったけど迷惑メールに入ってて読まれなかった』とか『Facebookでメッセージを送ったけど「その他」に入ってて気が付かれなかった』とかいう別の問題があったりもするわけで。
そういった『自分の書いた文章がきちんと相手に届いているのか』という問題に向き合った時、『読めない3.5インチフロッピーディスク』が自分の原風景として思い出されるのでした。
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